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澤外科
澤外科
粟根 雅章

第35回

肝炎のこと外科

健康診断の血液検査で、”肝機能が悪化している”といわれることがありますね。酒が多かったかなとか薬が合わなかったのかななどと考え込んでしまいますが、実際何が問題なのでしょうか。肝臓の病気はいろいろありますが、ここではいわゆる肝炎についてお話したいと思います。

肝臓について

肝臓は右の肋骨に隠れた上腹部にある、1~1.5kgの体内で最大の臓器です。エネルギーの貯蔵・供給、蛋白の合成・分解、腸からの栄養物や病原体の処理、体液バランスの調節、胆汁による有害物の排泄など多様な働きがあります。肝臓がないと生きられませんし、腎不全に対する透析のような人工的な補助機械はまだ開発されていません。

急性肝炎と慢性肝炎

急に肝臓に強い炎症がおこるのが急性肝炎です。原因はウイルス感染(肝炎A、B型、EBウイルスなど)、アルコールの飲み過ぎ、薬剤によるもの、自己免疫などがあり、それぞれに特有のきっかけ(食べ物や性交渉、飲酒、薬物など)があります。自覚症状としてだるさ、食欲不振、黄疸などが見られます。多くは大事にしていたら治りますが、B型肝炎の劇症化(約1%)に注意が必要です。劇症肝炎は数日から数週間で肝不全となり、命取りです。また、急性肝炎のあと治らずに慢性肝炎になる方もいます。

慢性肝炎というのは、弱い炎症が長い間続くもので、自覚症状はほとんどありません。原因としてはB型肝炎(約20%)、C型肝炎(約70%)などのウイルス性肝炎が最も多く、アルコール性、脂肪肝、自己免疫性肝炎などが続きます。ウイルス性肝炎はうつる病気なので、ウイルス検査やワクチンが普及することで、今後減っていくと予測されています。2016年からは全乳児に対するB型肝炎ワクチン予防接種も開始されました。次いで多いのはやはりアルコール性の肝障害です。最近増加しつつあるのが生活習慣と関連のある”脂肪肝”による慢性肝障害です。肝細胞に脂肪がたまる地味な病気ですが、放置すると他の慢性肝炎と同様の経過をとる事がわかってきました。これらの慢性肝炎を放置すると、肝臓の線維化(弾力が失われ硬くなること)・肝硬変を起こして働きが数分の一以下に低下します。肝硬変になるともう元に戻ることはなく、おまけに肝臓癌ができやすくなってさらに命を脅かします。

診断法

肝臓の状態を調べるのには

  1. 血液検査
  2. 画像検査
  3. 肝生検

などがあります。血液検査では、肝酵素(AST, ALT, γGTP, LDHなど)、ビリルビン(黄疸色素)、アルブミン、血小板、凝固機能、ウイルス検査、免疫検査などが重要です。肝酵素の上昇は肝細胞がどれだけ壊れているかを示し、ビリルビンの上昇や血小板、アルブミンの減少は肝臓の働きが低下していることを示しています。ウイルスがいるかどうかは、血液中にウイルス抗原か抗体を検出することでわかります。画像検査では、まず超音波検査(エコー)で調べてから必要に応じて造影CTを撮影します。MRIは肝のできものの精密検査に役立ちます。胆石や胆管の異常をしっかり調べることも重要です。肝生検というのは、針で肝臓の一部を採取して顕微鏡で調べる方法ですが、リスクがあるので限られた場合に行います。

治療法

治療は肝硬変への進行を食い止めるのが目的で、肝炎の原因によって異なります。

  • ウイルス性肝炎
    以前はグリチルリチン酸やウルソによる肝臓をいたわる治療とインターフェロンによる免疫治療が主体でしたが、現在はウイルスに直接作用する飲み薬の治療が効果を上げな症状が出現してきます。逆に言えば症状が出るということはかなり悪いのです。皮膚や目、尿が黄色くなる黄疸をはじめ全身倦怠、腹水、食道静脈瘤、出血傾向、糖尿病、肝癌などが様々ています。C型肝炎ではこの治療で高率にウイルスそのものを消してしまう事ができるようになりました。B型肝炎では、ペグインターフェロンや肝炎ウイルスの活動を抑える飲み薬(核酸アナログ)が有効です。
  • アルコール性肝障害
    もちろん断酒が最優先ですが、アルコール依存症の治療も必要です。
  • 脂肪肝
    治療法は確立されていませんが、ダイエット、運動、糖尿病治療などが行われて一定の効果があります。
  • 自己免疫肝炎
    ステロイドの内服が有効とされます。
  • 手術治療
    手術としては肝癌の切除のほか、だいぶ進んだ末期肝疾患に対しては肝移植が一定の治療効果をあげています。一方で、肝臓が悪いと他の病気の手術が難しくなることもあります。
肝炎を放置すると

慢性肝炎が怖いのは、知らない間に肝障害が進行して肝硬変になってゆくことです。肝臓の能力には余力があるので、多少のことでは症状が出ませんが、高度の肝障害になってはじめて様々な組み合わせて出てきます。非代償性肝硬変と呼ばれる状態はいわゆる末期状態です。肝癌も他のがんと同じように治療、切除できなければ助かりません。慢性肝炎にかかってから20〜30年、高齢になって肝硬変、肝癌に至るとされます。こうならないように、継続的な検査、治療が重要なのです。

終わりに

肝臓の病気は自覚症状が乏しかったり、ゆっくり進行したりすることが多いので、一度引っかかったら定期的にチェックを受けることをおすすめします。また肝炎ウイルスの検査を受けたことがない方は、ぜひ一度調べてみてください。

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さくらこころの
クリニック

南中 さくら

第34回

気分が上がったり下がったり。
双極症(双極性障害)ってどんな病気??心療内科

初めまして。フラワータウンのさくらこころのクリニックの南中さくらです。

みなさんは双極症(双極性障害)という病気を耳にしたことはありますか?以前は「躁うつ病」と呼ばれていたので、「その病気なら知っている」という方も多いでしょう。

健康な人においても、気分の波は存在します。嫌なことがあったら気持ちが落ち込む、嬉しいことがあったら気持ちが明るくなる、というのは誰しも経験することです。また、平常時より気持ちが上がったり落ち込んだりしても、時間が経つと次第に元通りになります。

双極症では、そのような緩やかな気分の波ではなく、大きな上がり下がりの波を認め、普段のその人とは明らかに違った状態となります。また、一度その波が起こるとその気分がある程度長く持続します。

上の波が起こっている状態を「軽躁状態」「躁状態」と呼び、軽躁状態では爽快気分、何でもできるような感覚、睡眠時間が短くても元気いっぱいで、予定をどんどん入れる、などの状態となります。軽躁状態がみられる場合は双極症「Ⅱ型」です。

軽躁状態よりさらに激しい状態を「躁状態」と呼び、ささいなことで爆発的に怒ったり、誇大的な話を延々としたり、大きな買い物や借金を立て続けにするなどします。人間関係に支障をきたし、家庭や社会での立場が危うくなることも多いです。躁状態がみられる場合は双極症「Ⅰ型」です。

下の波が起こっている状態を「抑うつ状態」と呼び、みなさんご存知の「うつ病」の抑うつ状態と同様の状態となります。抑うつ状態はⅠ型でもⅡ型でも同じくらいの下の波です。

「うつ病」と診断されていた人が、時間を経て「双極症」と診断が変わることがあります。これは、とくにⅡ型の人に多い問題です。治療の序盤では、軽躁状態が過去にあったことに気づかなかったが、新たな情報が確認され診断が変わるケース、または、経過中に新たに軽躁状態が出現して診断が変わるケースがあります。

双極症ではうつ病と違って、眠れないのではなく寝すぎてしまう「過眠」や食べられないのではなく食べ過ぎてしまう「過食」など、非定型的な抑うつ症状を認めることがあります。双極症はうつ病より、発症に遺伝的な要素が影響することも知られています。25歳以下で発症した、抑うつ状態のエピソードが5回以上ある、非定型うつの症状がある、家族に双極症の人がいる、などの場合は双極症の可能性が高いので診断が適切がどうか検討する必要があります。

「同じような抑うつ状態を認めるのなら、うつ病と同じ治療で問題ないのでは?」と考える方が多いのですが、双極症の方を抗うつ薬で治療すると、薬が軽躁・躁状態を惹き起こしてしまったり、気分の波のサイクルを早めてしまうリスクがあります。また、うつ病の方と違って、抑うつ状態でも抗うつ薬が有効でないケースも多いです。双極症の薬物治療では、炭酸リチウム、ラモトリギンなどの気分安定薬が主となります。また、生活リズムの見直しや、ストレスケア、対人関係の調整などの非薬物治療も重要です。

まずは、双極症についての社会的認知が広がることが大切です。「もしかすると、これは双極症では?」と感じる人が増えれば、患者さんの早期の受診、適切な診断・治療、そして社会的な損失を回避することにつながります。頭の片隅に「双極症」のことを置いていていただければとても嬉しいです。

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どうもと内科
クリニック

堂本 康治

第33回

酒は百薬の長?内科

「酒は百薬の長」とは、「適量の酒はどんな良薬よりも効果があると、酒を賛美した言葉。」とされており、出典は古く、漢書・食貨志下で漢を簒奪した王莽の言葉と言われています。

飲酒により、リラックスしてストレスが発散されたり、人間関係をスムーズにしたりといった日常生活の潤滑油の働きをしてくれる作用を実感されている方も多いと思います。最近では、赤ワインに含まれるポリフェノールのはたらきで心筋梗塞などの予防に役立つという報告もあり、赤ワインを選ばれることも多いと思います。また、適量摂取では悪玉コレステロール(LDLコレステロール)の増加を抑え、善玉コレステロール(HDLコレステロール)を増加させ、動脈硬化の予防につながるとの報告もあります。

どれくらいが適量なのでしょうか。厚生労働省は「健康日本21」の中で「節度ある適度な飲酒」を定義していて、通常のアルコール代謝能を有する日本人においては、節度ある適度な飲酒として1日平均純アルコールで20g程度です。おおよそ「ビール中ビン1本」「日本酒1合」「チュウハイ(7%)350mL缶1本」のアルコール量に相当します。この数値は日本人や欧米人を対象にした大規模な疫学研究から、アルコール消費量と総死亡率の関係を検討し、それを根拠に割り出されたものです。

度を越えて大量に飲み続けると、健康を害することになります。肝硬変や膵炎などを引き起こすばかりか、高血圧にもなりやすくなります。さらに、飲酒によって発がんリスクの上昇も指摘されており、25gのアルコール量でも、口腔、咽頭、食道、および咽頭がんのリスクを最も増加させ、胃がん、結腸がん、直腸がん、肝臓がん、女性の乳がん、卵巣がんについてもリスクを増加させるとの報告があります。また、ワイン1週間当たり1本(1日100ml程度、約12%としてアルコール量約12g程度)の飲酒を続けた場合、非喫煙者において発がんの生涯リスクが男性で1.0%、女性で1.4%上昇するとのこと。飲酒による発がんリスクの「タバコ当量」を算出し、男性で喫煙5本/週、女性で10本/週の軽度喫煙と発がんリスクが同等で、飲酒量が増えると上昇することが示されています。

タバコと癌の関係はよく耳にすることが多いと思いますので、比較されると実感しやすいですね。故事曰く、「酒は百薬の長」といえど、休肝日を設けて、ほどほど・・・あまり飲まないように・・・がいいということなのでしょう。

http://kotowaza-allguide.com/sa/sakewahyakuyaku.html
https://www.mhlw.go.jp/www1/topics/kenko21_11/b5.html
Alcohol Res Health. 2001; 25(4): 263–270.
BMC Public Health volume 19, Article number: 316 (2019)
Nutr Aging (Amst). 2014 Jun 12; 2(2-3): 91–99.

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秋久医院
なかじま脳神経外科
クリニック

中島 誠爾

第32回

脳神経外科クリニックのご案内脳神経外科

なかじま脳神経外科クリニックの、中島誠爾です。
令和元年5月に三田にて開業しました。三田市の皆様をはじめたくさんの方々が健やかな生活を送れますよう、お手伝いをさせていただきたいと思っています。末永くよろしくお願い致します。

なかじま脳神経外科クリニックでは、「頭痛、めまい、しびれ、もの忘れ等の症状の原因として脳の病気がないか?」に対しMRIを迅速に行い脳の病気があるかないかを検査します。

頭痛、めまい、しびれの原因に脳梗塞や脳出血、脳腫瘍などもあります。物忘れの原因として脳梗塞、正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫などがあります。これらの脳の病気の場合、迅速な治療が必要な場合が多いため、近隣の病院にご紹介します。脳に病気がなければ、その症状に対し治療を行ってまいります。

症状を良くすることはもちろんのこと、それらの症状からくる生活や仕事の不安を少しでも和らげ、明るく楽しく生活して頂けるお手伝いをすることを目標にしています。来て良かった、また困った時には相談に来よう、と皆様方から思っていただき、笑顔になってもらえるクリニックを目指します。

まだまだ至らないところがありますが、今後より良いクリニックを目指し、スタッフ共に成長していきますので、どうか暖かく見守っていただけると幸いです。
今後とも、よろしくお願いします。

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シオタニレディースクリニック
シオタニレディース
クリニック

塩谷 朋弘

第31回

更年期障害婦人科

1. 更年期障害とは

「閉経」とは、卵巣の機能が減退し最終的に消失した状態をいいます。自然の状態で1年以上月経が来ないと1年前を振り返って閉経としています。日本人の閉経年齢は約50.5歳ですが、その前後5年の個人差もあります。またご自身の閉経の時期を事前に知ることはできません。

閉経の前後5年間を「更年期」といいます。この期間におこる症状の中で他の疾患によるものでないものを「更年期症状」といい、その中で日常生活に支障を来す状態を「更年期障害」といいます。

更年期障害の主な原因は卵巣ホルモン(エストロゲン)が大きく変動しながら低下していくことですが、それに加え加齢などの身体的因子、心理的因子、社会的因子が関係して発症すると考えられています。

2. 症状

更年期障害の症状は大きく3種類に分けられます。

  1. 血管の拡張と放熱に関係する症状(血管運動障害)
    ほてり、のぼせ、ホットフラッシュ、発汗など
  2. その他のさまざまな身体症状
    めまい、動悸、頭痛、肩こり、腰痛、関節の痛み、冷え、疲れやすさなど
  3. 精神症状
    うつ症状、意欲低下、情緒不安定、不眠など

更年期障害の症状の特徴は多彩なことですが、これらが他の病気による症状ではないことを確認する必要があります。

3. 治療法

更年期障害は身体的因子・心理的因子・社会的因子が関与して発症しますので、適切な薬物療法とともにカウンセリングなどの心理的なアプローチや、食事・運動といった生活習慣の改善を図ることも大切です。

  1. ホルモン補充療法(HRT)
    更年期障害の主な原因がエストロゲンの変動にあるため、少量のエストロゲンを補う治療法(ホルモン補充療法)が行われます。HRTはほてりや多汗などの血管運動障害に効果的です。また老年期の寝たきり状態の原因となる脳血管障害や骨粗鬆症などを予防できるという利点もあります。
  2. 漢方薬
    漢方療法の基本的な考え方は、心と体のバランスを整えることにより、さまざまな症状を改善することです。またホルモン剤が使用できない場合に使用します。
  3. 向精神薬
    気分の落ち込み・意欲の低下・イライラ・情緒不安定・不眠などの精神症状には、抗うつ薬・抗不安薬・催眠鎮静薬などの向精神薬も用いられます。
  4. 食事療法
    バランスのとれた食事をとること、野菜・果物から必要な量のビタミン類をとることが大切です。また、大豆イソフラボンの含まれた食品も症状を緩和するとも言われています。
  5. 運動療法
    適度な運動は、ストレス解消に効果的であり、気持ちを前向きにする効果があります。

現在わが国では女性の平均寿命が90歳に近づき、更年期は人生の折り返し地点となっています。人生の後半のスタートにあたり、健康に留意してまいりましょう。

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最新トピックス一覧
第35回:肝炎のこと
第34回:気分が上がったり下がったり。双極症(双極性障害)ってどんな病気??
第33回:酒は百薬の長?
第32回:脳神経外科クリニックのご案内
第31回:更年期障害
第30回:糖尿病治療の進歩と今後の課題
第29回:アレルギー性結膜疾患について
第28回:糖尿病と眼合併症
第27回:小児の心雑音について
第26回:インフルエンザのワクチン、治療薬について
第25回:湿潤療法のすすめ
第24回:女性の尿漏れ(尿失禁)について
第23回:ペインクリニックとは
第22回:飲み込みの話し
第21回:痔瘻(じろう)について
第20回:慢性心不全での再入院を予防しましょう!-心臓リハビリテーションを中心に-
第19回:ノロウイルス
第18回:糖尿病にかからないようにすれば、アルツハイマー病にかかりにくくなる
第17回:向精神薬について
第16回:泌尿器科のよくある病気
第15回:アトピー性皮膚炎について
第14回:腰痛のお話
第13回:メンタルクリニックとは
第12回:40代から要注意!緑内障の真実
第11回:夏の皮膚とスキンケア
第10回:第109回日本精神神経学会学術総会からの報告
第9回:痛みの治療について
第8回:食物アレルギーについて
第7回:花粉症について
第6回:虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)に関して
第5回:胃食道逆流症(GERD)のはなし
第4回:生命の伝承といきいきとした経済のために
第3回:胃に棲みつく悪玉菌ヘリコバクターピロリ
第2回:加齢黄斑変性の疫学と予防
第1回:慢性腎臓病(CKD)